2015年11月に発売予定だったグラクソ・スミスクライン社のAGA新薬、ザガーロが、2016年6月13日、おくばせながら発売になりました。この薬剤はプロペシアが5α還元酵素2型阻害薬であるのに対して、5α還元酵素1型/2型阻害薬です。男性型脱毛症に主に関係する2型還元酵素のみでなく、2種類の還元酵素をどちらもブロックします。プロペシアは男性型脱毛症の原因であるジヒドロテストステロンの生成を7割阻害しますが、ザガーロは実に9割をカットするといわれています。
実はザガーロと全く同一成分のグラクソ・スミスクライン製の薬剤は2009年から発売されています。当院では当時からこの薬剤を用いて、プロペシアで効果不十分なAGA患者さんにおいて良好な成績を上げています。当然プロペシアの処方が優先するのですが、中にはプロペシアを服用していても、徐々にAGAが進行する患者さんがあるのは事実です。そういった場合、この薬剤は非常に役に立ちます。AGA治療において当院はこの薬剤の処方経験も豊富です。
また副作用について考えれば、ザガーロを第一選択薬とするよりも、プロペシアと発毛剤による治療から初める方が安全かもしれません。当院では、十分な情報を提供して治療を行っています。いずれにせよ、薬剤の選択は診療において医師が決定することです。くれぐれも「薬を買いに行く」ような感覚で、医療機関を選ばないでくださいね。